社会人基礎力測定の方法について 社会人基礎力の測定方法には、米国での教育団体協会が推薦している次の2つの教育手法が使われています。 1.SBL方式 (Story Based Learning) 米国のATDの推薦するSBL方式は、ヒューマン系のスキル育成に利用するシミューレションベースの教材です。ヒューマン系のスキルとは主体性、実行力、課題発見力などでビジネスシーンの中で求められる能力要素です。これらの教育として座学でそれぞれの能力要素の行動特性を説明して、理解させることはできるが、実際のビジネスシーンでその能力要素が必要とされた場合に、受験生が理想の行動特性を発揮できるのかを確認するのは難しい。 そこでSBL方式では、受験生が今後遭遇するビジネスシーンを提示して、その場面でどのような行動特性が取るのかを把握する方式である。そのためにも提示するビジネスシーンはリアリティのある状況が必要であり、できれば連続したビジネスシーンで実体感を与える必要があります。 新入社員の社会人基礎力を測定するためには、新たに配属された職場で彼らが直面するビジネスシーンで設定する必要があります。上司との関係、先輩からの指示への対応、作業中のトラブル対応など今後その場面に遭遇する可能性のあるビジネスシーンで構成します。そして、それぞれの場面では、12の能力要素の発揮が求められているという想定です。 行動特性を発揮できているのかを判定するためには、そのビジネスシーンに教官が立ち会っている必要があるがそれは難しい。デモンストレーションとして行う場合でも、受験生は成果を意識して、本当の自分の行動特性を見せることを期待できない。 設問は12の能力要素の行動特性を求めるビジネスシーンをそれぞれ2つ準備します。合計で24問の設問になります。それぞれの設問には、4つの行動特性の選択肢を用意しています。その中で1番求められている行動特性、ある程度の評価が得られる行動特性、許される範囲の行動特性、そして、それは評価されない行動特性になっています。受験生はそれぞれの行動特性の中から自分がこの場面で取ると思う行動特性を選択します。選択肢にはポイントが付与されていて、1番求められている行動特性の選択肢は4ポイント、ある程度の評価が得られる行動特性は3ポイント、許される範囲の行動特性は2ポイント、そして、それは評価されない行動特性は1ポイントです。しかし、このままですと受験生は成果を意識して、評価の高いと思う行動特性を選ぶ可能性がたかくなります。それでは本人の行動特性を正確に把握できないので、対策を追加します。 2.As Is To Be方式 上記の設問に対して、受験生が4つの行動特性の選択肢から、自分の行動ではなく、理想の行動特性を選んでしまう危険性を回避するために採用するのが「AS IS TO BE]方式です。 AS ISとは現状のこと、TO BEとは理想の状態を示し、現状と理想とのギャップを作り出している問題点を分析する際に使われる基本的な理論概念です。この測定では、その場面で自分の行動特性としての選択肢を選びます。これがAS ISの現状です。そして、次にこの場面で受験生があるべきと考える行動特性を選びます。これがTO BEの理想の状態です。この2つの選択肢を選ぶという条件を提示することで、受験生はいい成果を気にせずにその場面での自分の日頃の行動に近い行動特性の選択肢を選ぶことになります。 その結果、提示されている様々なビジネスシーンでの受験生のAS IS(現状)を客観的に把握するとともに、理想(TO BE)とのギャップを作り出している問題点や課題を洗い出し、課題に向けてどのようなアクションを取ればよいのかという解決策を見つけることができます。